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Channel: 二度と許さない
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"まだ一般病棟で働いていた頃、ある末期がんの患者が「最初は痛かったり苦しかったりするのはイヤだな、怖いなって思ってたんだけど、実際こうなってみても予想してたほど痛くも苦しくもない、なんだかアテが外れたよう..."

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“まだ一般病棟で働いていた頃、ある末期がんの患者が「最初は痛かったり苦しかったりするのはイヤだな、怖いなって思ってたんだけど、実際こうなってみても予想してたほど痛くも苦しくもない、なんだかアテが外れたような気がする」と言うのでわたしはもう少し突っ込んで聞いてみようかと思い、具体的に今、何が気になっていますか?と尋ねてみた。するとその患者は少し考え込むとこういう話を始めた。

「なんていうか・・・外の世界は何もかもずっと続いていくんだけど、その中から自分だけがいなくなるんだっていうか・・・それを納得しなくちゃいけないんだ、っていうことをずっと考えてる」

わたしはその患者の話を聞いたときに、初めて一人称としての「わたしの」死をリアルに想像した。それは本当にひやりと身体の内側から寒くなるような怖さだった。”

- 最後の敵 : 漂流生活的看護記録 (via ginzuna)

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